10月は日本中の神様が出雲に集まり、諸国から神様がいなくなる「神無月(かんなづき)」です。家運隆盛・商売繁盛の福の神である恵比寿様だけは、神々の留守を守るため諸国に残りました。ひとり残った恵比寿様をなぐさめたのが「えびす講」の始まりといわれます。
「えびす」は「恵比須」「戎」「夷」「蛭子」とも書き、いわゆる七福神の一神で、福徳を授ける商売繁盛の神として知られています。
えびす講では、商家などで親戚や顧客を招き、床の間に恵比寿様の掛け軸をかけ、鯛(たい)、お神酒(みき)、お餅、柿、栗などを供えて酒宴を開きます。器物に千両、万両と高値をつけて売買のまねごとをし、商売繁盛の縁起をかつぐ風習もあります。
関西では、商売繁盛の神として恵比寿信仰が根強く残っていて、お正月には「
十日戎」が盛んに行われます。
「誓文(せいもん)」は神様にした約束を書いた文書のことです。昔、遊女はその場限りの客に「夫婦になろう」などと誓文を渡して駆け引きしましたが、神に誓った約束を破った罪を祓(はら)うため、旧暦10月20日にお参りする行事がありました。10月20日は「えびす講」で、商人の町・大坂では呉服屋が蔵ざらえを行っていました。
今では主に関西地方で、商家がふだんの儲けの罪滅ぼしとして商売抜きで安売りをする、秋〜年末の格安セールの習慣として残り、冬の訪れを告げる風物詩のひとつとなっています。